産業廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物収集運搬業許可

 京都府における産業廃棄物収集運搬業許可について解説します。本解説においては、理解の容易さを主眼とし、適宜文言・表の省略・変更等を行っています。実際の運用においては、必ず法律、条例等の原文を確認ください。

1 産業廃棄物収集運搬業の許可の概要

 他人から委託を受けて産業廃棄物の収集又は運搬を行う者は、都道府県知事、又は政令市長(京都市等)の許可を受けなければなりません。特別管理産業廃棄物も同様の内容のため、産業廃棄物を特別管理産業廃棄物と読み替えてご理解ください。

(1)許可の区分

 産業廃棄物収取運搬業の許可は、「業の区分」ごとに、「事業の範囲」を限定した許可です。
 業の区分が異なる許可を取得しようとする場合は、それぞれ新たな「許可申請」が必要です。事業の範囲を変更する場合は、「変更許可」が必要です。

 取り扱う廃棄物の種類は、次の表のとおりです。

(2)許可申請等の相談・受付の窓口

 許可申請等は、本店所在地のある地域の窓口に申請します。
 京都市に本店所在地がある場合で、京都市のみで業務を行う場合は京都市に、京都市以外でも業務を行う場合は京都府に申請します。
 申請は、事前に各窓口へ問い合わせの上、予約が必要です。
 受付印を押印した控えが必要な場合は、 2部必要です。

2許可の要件

(1)知識及び技能

 次に掲げる者は、(公財)日本産業廃棄物処理振興センターが実施している「産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会の収集運搬課程」を修了していることが必要です。

 なお、産業廃棄物収集運搬業の許可を新規に申請する場合には、原則として新規許可講習会の受講が必要ですが、他の自治体で産業廃棄物収集運搬業許可を受けている場合は、更新許可講習会の修了証(京都府への申請日から2年以内のもの)でも新規許可申請が可能です 。

講習会の修了者

【法人の場合】
「その代表者」、「その業務を行う役員(監査役を除く。)」、「政令で定める使用人」のいずれか

個人の場合】
「 申請者本人」、「政令で定める使用人」のいずれか

講習会修了証の有効期間
【新規許可講習会】 5年(講習会修了日から起算して5年以内)
【更新許可講習会】 2年(講習会修了日から起算して2年以内)

※新規許可申請は「許可申請日」が有効期間内であることが必要。
※更新許可申請は現行の「許可期限日」が有効期間内であることが必要。

(2)経理的基礎

 許可を受けるには、「経理的基礎を有すること」に適合していなければなりません。京都府においては、次の要件を満たしているかを判断材料としており、一つでも満たしていない要件がある場合は追加の審査が必要となります。

【法人の場合】
 直前期の決算書で
 ①純利益を計上していること
 ②繰越利益剰余金が黒字であること

【個人の場合】
 直前の確定申告で、合計所得が黒字であること
 (ゼロは赤字と判断)

 上記を満たさない場合、「経理的基礎に関する申立書」等書類の提出が必要となります。

 なお、申立書についてはあくまで一例であるため、申請者の状況により、異なる文面を求められることがあります。

(3)欠格要件

 申請者が次のいずれにも該当しないことが必要です。許可後であっても、欠格要件に該当した場合、許可が取り消されることとなります。

①廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条第5項第4号イからチまでのいずれかに該当する者
②暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。)
③営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が①又は②のいずれかに該当するもの
④法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに①又は②のいずれかに該当するもの
⑤個人で政令で定める使用人のうちに①又は②のいずれかに該当する者のあるもの
⑥暴力団員等がその事業活動を支配する者

(4)施設に係る基準

〇産業廃棄物収集運搬業の場合

①産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。

〇特別管理産業廃棄物収集運搬業の場合

①特別管理産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
②廃油、廃酸又は廃アルカリの収集又は運搬を業として行う場合には、当該廃油、廃酸又は廃アルカリの性状に応じ、腐食を防止するための措置を講じる等当該廃油、廃酸又は廃アルカリの運搬に適する運搬施設を有すること。
③感染性産業廃棄物の収集又は運搬を業として行う場合には、当該感染性廃棄物の運搬に適する保冷車その他の運搬施設を有すること。
④廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の収集又は運搬を業として行う場合には、応急措置設備等及び連絡設備等が備え付けられた運搬施設を有すること。
⑤その他の特別管理産業廃棄物の収集又は運搬を業として行う場合には、その収集又は運搬を行おうとする特別管理産業廃棄物の種類に応じ、当該特別管理産業廃棄物の収集又は運搬に適する運搬施設を有すること。

○収集運搬施設について

・運搬施設は、自己の事業に供されるものであることから、使用権がある運搬車両を有すること。
・感染性産業廃棄物を運搬する車両は、原則として保冷車であること。
・保冷車以外の運搬車両を用いて、感染性産業廃棄物を運搬する場合は、保冷構造を有する容器等(クーラーボックス等)を使用し、他のものと混合するおそれのないこと。
・燃え殻、汚泥、ばいじん、鉱さい等粉末又は泥状の産業廃棄物を直接積載することが不適当な運搬車両で運搬する場合は、オープンドラム、フレコン袋等の収納容器に収容し積載すること(運搬車両は収納容器が積載可能なものに限る)。
・廃油、廃酸又は廃アルカリ等液状の産業廃棄物を直接積載することが不適当な運搬車両で運搬する場合は、ポリタンク等の収納容器に収容し積載すること(運搬車両は収納容器が積載可能なものに限る)。
・荷台に側板等を設置し積載能力以上の積載が行われる恐れのある運搬車両、違法な改造がされた運搬車両等は、 特別管理産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬施設と解しない。

3 許可申請手続き

(1)許可申請書

 産業廃棄物収集運搬業(積替保管を含まない)の申請書は、必要な事項を記入し、下表に示す必要な添付書類を添えて、提出します(郵送による受付は行われていりません)。

(2)許可申請手数料

 許可申請手数料は次のとおりで、「京都府収入証紙」により納付します。
 納付の際、「京都府収入証紙」に割印しますので、認印を持参してください。
 一度納付された申請手数料はいかなる場合でも返還されません。

(3)様式・添付書類

 様式や添付書類は京都府ホームページで入手できます。

 (京都府ホームページ http://www.pref.kyoto.jp/sanpai/mokuji2.html

(4)留意事項

①取り扱うことができる産業廃棄物は、許可証に記載してある種類に限られており、その他の産業廃棄物を取り扱うことはできません。
②京都府全域で業務を行う場合(京都市で積替え又は保管を行う場合を除く。)は、京都府知事のみの許可を受けることとなります。
③他の都道府県において業務を行おうとする場合は、当該知事(又は政令市長)の許可が必要です。

4 産業廃棄物収集運搬業を行う上での基準等

(1)産業廃棄物収集運搬基準

 産業廃棄物の収集運搬に当たっては、次の基準を守る必要があります。

(2)産業廃棄物収集委託基準

 排出事業者から産業廃棄物の収集運搬の委託を受ける場合には、次の事項を記載した委託契約書を作成し、産業廃棄物収集運搬業許可証の写しを添付することが必要です。

①受託する 特別管理 産業廃棄物の種類及び数量
②運搬の最終目的地の所在地
③委託契約の有効期間
④委託者が受託者に支払う料金
⑤受託者の 特別管理 産業廃棄物収集運搬業の事業の範囲
⑥受託者が積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
⑦受託者が積替え又は保管を行う場合において、安定型産業廃棄物を当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
⑧受託する産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
⑨受託する産業廃棄物の通常の保管状況下での腐敗、揮発等の性状の変化に関する事項
⑩受託する産業廃棄物と他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
⑪JIS C0950 に規定する含有マークが付されたものである場合には、含有マークの表示に関する事項
⑫石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合はその旨
⑬受託する産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
⑭⑧~⑬の情報に変更があった場合の情報伝達に関する事項
⑮受託業務終了時の委託者への報告に関する事項
⑯委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

 また、産業廃棄物の収集又は運搬を受託する際は、次の事項についてあらかじめ排出
事業者から文書で通知を受けなければなりません。

①受託する特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状及び荷姿
②受託する特別管理産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

(3)産業廃棄物管理票(マニフェ スト)

 産業廃棄物の収集又は運搬を受託する際は、次の事項を記載したマニフェストの交付を排出事業者から受けなければなりません。
 なお、マニフェストの交付を受けずに産業廃棄物の引き渡しを受けると罰則の対象となります。

①当該受託に係る産業廃棄物の種類及び数量
②運搬受託者の氏名又は名称
③処分受託者の氏名又は名称
④管理票の交付年月日及び交付番号
⑤排出事業者の氏名又は名称及び住所
⑥産業廃棄物を排出した事業場の名称及び所在地
⑦管理票の交付を担当した者の氏名
⑧運搬又は処分を受託した者の住所
⑨運搬先の事業場の名称及び所在地並びに運搬を受託した者が産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地
⑩産業廃棄物の荷姿
⑪最終処分を行う場所の所在地
⑫中間処理業者が交付者である場合には、交付又は回付された産業廃棄物に係る管理票を交付した者の氏名又は名称及び管理票の交付番号又は登録番号
⑬産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その数量

 産業廃棄物の収集又は運搬を終了したときは、交付された管理票に次の事項を記載し、10日以内に委託者にその写しを送付しなければなりません。

①氏名又は名称
②運搬を担当した者の氏名
③運搬を終了した年月日
④積替え又は保管 の場所において受託した産業廃棄物に混入している物(有償で譲渡 できるものに限る。)の拾集を行った場合には、拾集量

 また、管理票交付者に管理票の写しを送付したときは当該管理票を当該送付の日から、処分業者から管理票の写しの送付を受けたときは当該管理票の写しを当該送付を受けた日から、5年間保存しなければなりません。

(4)委託者への通知

 産業廃棄物収集運搬業者は、現に委託を引き受けた産業廃棄物の収集、運搬を適正に行うことが困難となり、又は困難となるおそれがある次の事由が生じたときは、10日以内に、その旨を当該委託をした者に書面により通知しなければなりません。

①産業廃棄物処理業等の全部又は一部を廃止したことにより、現に委託を受けている産業廃棄物の処理がその事業の範囲に含まれないこととなった場合。
②(特別管理 産業廃棄物処理業者等が欠格要件(その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者、暴力団員等及び暴力団員等がその事業活動を支配する 者を除く。)に該当するに至った場合
③法第14条の3の規定による事業停止命令を受けた場合

 通知をしたときは当該通知の写しを当該通知の日から5年間保存しなければなりません。

①産業廃棄物収集運搬業者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、代表者の氏名
②上記事由が生じた年月日及び当該事由の内容

(5)帳簿の記載

 帳簿を事業場に備え、次の事項を産業廃棄物の種類ごとに、毎月末までに前月分を記載し処理状況を把握しなければなりません。
 また、帳簿は1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければなりません。
 産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、各事項にその旨を明らかにする必要があります。
 交付又は回付された日から10日以内に記載しなければなりません。
 マニフェストに係る産業廃棄物の引き渡しまでに記載しなければなりません。

(6)収集運搬の再委託

 収集若しくは運搬の委託を受けた産業廃棄物の運搬を他人に再委託することは原則、禁止されています。ただし、事故等の理由により運搬ができない場合などの理由により、再委託が必要な場合、次の基準を満たさなければなりません 。

5 許可取得後に必要な手続等

(1)許可の有効期間と更新手続

 産業廃棄物収集運搬業許可には有効期限があり、有効期限後も引き続いて業務を行う場合は、有効期限を迎えるまでに更新許可申請を行う必要が あります。更新許可申請を行う場合は、次のことに注意してください。

①許可の有効期間は5年優良認定を受けた場合、7年であり、許可証に記載してある有効年月日の翌日から許可は失効します 。
 ただし 、有効 期限内に許可申請 が行われた場合は、 有効期限の 満了後であっても 許可が下りるまでの期間は、継続して事業を行うことができます。
②更新許可申請から新しい許可証の発行までに約2箇月を要するため、有効期限の2箇月前
までに更新許可申請を行ってください(有効期限の3箇月前から申請書の受付を開始します。)。
 なお、更新の案内は、京都府から行いませんので、注意してください。
③更新許可の基準は、原則として新規に許可を取得しようとする者に対する基準と同様となります。なお、更新に際しては、あらかじめ(公財)日本産業廃棄物処理振興センターが実施する産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会を修了しておく必要があります。

 更新許可申請時の添付書類については、前回申請時(変更届がある場合は届出時)から変更がない書類を一部省略することができますが、公的機関が発行する書類(住民票の写し、法人の登記事項証明書、納税証明書等)は省略することができませんので、余裕を持って申請書類の準備を進める必要があります。
 また、 更新許可時において、優良基準(エコアクション21の認証取得等)を満たす事業者は、優良認定を受けることができ ます。優良認定を受けた場合、当該許可の有効期間が5年から7年に延長されるほか、許可証に「優良」の文字が記載されます。

(2)変更許可

 次のような場合には、あらかじめ変更許可を受ける必要があります。

①取り扱う産業廃棄物の種類を追加する場合(限定条件の変更及び石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等の取扱いの有無も含まれます。)
②積替え又は保管を行う場合(施設整備の必要があるため、事前協議が必要)

(3)変更届

 次のような場合には、変更の日から10日(法人の登記事項証明書の変更が必要なものは、30日)以内に変更届を提出する必要があります。
 また、変更届に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、その書換えを行います。

①住所、氏名又は名称を変更した場合
②政令で定める使用人、法定代理人、法人にあっては役員、相談役又は顧問、100分の5以上所有している株主・出資者等を変更した場合
③事務所及び事業場の所在地を変更した場合
④事業の用に供する主要な施設(収集運搬車両等)を変更した場合
⑤京都市内の積替え保管施設の有無を変更した場合

(4)廃止届

 事業の全部又は一部を廃止した場合は、その廃止の日から10日以内に届け出なければなりません。
 なお、届出の際には、許可証を返納する必要があります。
 一部の廃止とは、取り扱う産業廃棄物の減少、業種の縮小等を言います。

(5)欠格要件等該当届

 欠格要件(心身の故障を除く)に該当した場合は 、該当した
日から2週間以内に届け出なければなりません。届出の際には、廃止届も同時に提出し、許可証を返納する必要があります。
 また、許可を受けた者や法人にあってはその役員、法定代理人又は政令で定める使用人が精神の機能の障害を有する状態となり廃棄物の処理の業務の継続が著しく困難となった場合(認知症の診断を受けたり、事故等により重度の知的障害や精神障害を負ったりした場合)にも同様の届 出が必要となりますので、窓口へ事前にお問い合わせる必要があります。

(6)許可証の再交付

 許可証を紛失又はき損した場合は、速やかに再交付申請書を提出し許可証の再交付を受ける必要があります。再交付後に紛失した許可証を発見した場合は速やかに返納する必要があります。

 当事務所では、産業廃棄物収集運搬業許可に関する書類作成、申請の代理業務を行っております。お気軽にご相談ください。

PAGE TOP